2013年5月9日
運輸安全委員会(JTSB)様

B787型機のバッテリー事故の原因解明を求める

8・12連絡会

 アメリカ連邦航空局(FAA)は4月26日に、今年1月のバッテリーの発火事故以来運航が停止されていたB787型機について運航停止命令を解除し、日本の国土交通省も同日夜、日本航空と全日空に対し運航再開を許可した。
 バッテリーの発火事故は、まず、2013年1月7日に、ボストン空港で、日本航空のB787型機において発生、続いて、1月16日、全日空のボーイング787型機がバッテリーから煙が出たために高松空港に緊急着陸した。
 この二つの事故を受けて、アメリカ連邦航空局など世界の航空当局は同型機の運航を世界中で停止した。これらの事故は、乗客乗員の生命を脅かす可能性のあった極めて重大なものであり、事故原因を徹底的に解明し、完全に再発を防ぐ措置を講ずることが求められていた。

 世界の航空会社8社が合わせて約50機の787の運航を一斉に見合わせた(50機のうち17機が全日空、7機は日航)。
 この事故の原因については、アメリカ国家運輸安全委員会と日本の運輸安全委員会が事故原因を調査しているが、現時点で事故原因は特定されるに至っていない。
 このような日米欧の航空当局の措置を受け、B787型機について、リチウムイオンバッテリーのシステム改修と試験飛行の実施などを経て、全日本空輸と日本航空はこの6月にも国内線と国際線の営業運航を始める見通しとなったとされる。

(1) 以下の4点について回答と説明を求めます (最下部に回答リンク)
 わたしたちは、航空機事故によって肉親を失った遺族の立場から、事故原因が解明されない中での運航再開を前にして、以下の4点について強い不安を感じています。出来る限り説明をしていただくよう要望いたします。
 
① 事故の根本的な原因は特定されていません。バッテリー内部に火災を閉じ込めることが可能か否かにかかわらず、熱暴走などのトラブル自体が発生する可能性はどの程度に見積もっておられるのでしょうか。

 改良されたバッテリーにおいても熱暴走などのトラブルが発生する可能性があることをFAAのスティーブ・ボイド氏も「可能性をゼロにはできない。」としている。

② 同型機のバッテリーシステムには設計段階から見直す必要があるとの声も上がっています。B787のバッテリーシステムについて、開発当初にさかのぼり、その安全性についての情報公開をしてください。

 ボーイングは型式承認時に電池の事故は1,000万フライトに1回と説明したが、実際の2回の事故は5万フライト以前だった。また、2010年11月9日には、2号機(ZA002)の試験飛行中に電気室内の配電盤で火災が発生し、機内に煙が充満し主電源がダウンするという事故が発生し、この影響でコックピットの表示の一部とオートスロットルが作動しなくなった。
 一連の事故後、英メギット社傘下のセキュラプレーン・テクノロジーズ社をめぐって安全性への懸念を提起したことで6年前に解雇されたと主張するマイケル・レオン氏は、NTSBの調査官と1月に接触し、その主張に関する詳細な資料を渡したと明らかにしている。
 同社は米アリゾナ州に本拠を置き、787型機に搭載されているリチウムイオン電池向けの充電装置を製造している。同氏は1月23日に行われたロイター通信社とのインタビューや裁判資料の中で、セキュラプレーン・テクノロジーズ社が充電装置の出荷を急いでいたと主張し、この充電装置について、仕様と一致せず、正常に作動しなくなる可能性を指摘していたという。
 以上のような事実からすれば、B787型機のバッテリーシステムについては、その開発の当初にさかのぼりその安全性について情報公開を求めたい。 

③ B787のバッテリーとその充電システムには、何らかの重大な欠陥はないのでしょうか。説明をお願いします。

 ボーイング社は、80項目の原因をあげ、スティーブ・ボイド氏は「致命的にならない仕組みを作っていればよい」と説明している。しかし、事故が事前に想定したとおりに進行することはむしろまれであり、思わぬ展開をするという特徴を持っている。相次いで発生した二件の重大事故からも、B787のバッテリーとその充電システムには何らかの重大な欠陥がないのかと思う。
 B787は、従来の空圧制御部分を電気駆動に変えており、大量の電気を使う「電気飛行機」とも呼ばれており、電気システムの安全性は従来の航空機と比較しても極めて重要なものとなっている。
 
 今回とられた措置は①電池の一つ一つを絶縁テープで巻く、②電池と電池の間に絶縁性と耐熱性を強化した仕切りを設置する、③バッテリー容器ごと別のステンレス製の箱で覆い、内部を無酸素状態として発火させないなどの措置を内容としている。
 これらは、今後も熱暴走が発生しうることを前提として、バッテリー内部に火災を封じ込めることを目的としている。原因不明の現在の段階ではこのような対策を講ずるほかないのだと説明されているが、こうした対症療法ではなく、根本的な原因を取り除く為の抜本的な対策を求めたい。
 
④ あってはならないことですが、今回の運航再開の決定の背後にボーイング社やその機体製造に関与した企業の経営への配慮は、なかったのでしょうか。

 航空機製造会社や航空当局の意向に左右されることなく、日米の事故調査委員会は、公正で科学的な判断を下すことを求めたい。

(2) 日米の航空安全当局と事故調査委員会は、事故原因の徹底究明と市民への説明を。運航会社も独自の判断と説明を。
 
 日航機事故遺族で作る8.12連絡会は、航空機事故の発生を未然に防止し、次なる事故による犠牲者を生み出さないことを目標に、空に安全の向上のために提言を続けてきました。
 このような悲しい事態を絶対に起こさないために、私たちは、日米の航空当局と事故調査委員会に対して、今後も事故原因の完全究明と原因を根絶する対策を求めます。また、市民に分かりやすい説明をしてください。
 運航会社におきましても、航空当局の指示に従うだけでなく、自らの責任で安全運行を実現できるよう運航の判断をしていただくとともに、原因究明の進行状況と安全対策について、利用者への報告と説明を、徹底して行うようお願いいたします。

以上

8・12連絡会



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