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 8・12連絡会はこの事故の遺族が互いに支えあうことを目的に作られた会です。私たち遺族は�事故を風化させないこと�それが再発防止につながると信じてきました。28年間、継続的に、安全問題を訴えてきました。共に訴え、支えてくださる皆様に心から感謝をしています。
 
 28年前に、かけがえのない肉親の死に直面し、「なぜ死ななければならなかったのか?」と、その真実を知りたい思いを28年間共有する中で、たくさんの方々と出会い、励まされ、歩いてきました。このかけがえのない人への消すことのできない思いが、事故調査機関の強化となり、今の運輸安全委員会につながっていると信じています。更に世界的レベルの事故調査機関へと充実させていただくよう願っています。

1)命を運ぶ乗り物に最も重要なものは安全にかけるコスト。安全にかけるコストを削ってはいけない。公共輸送機関にとって安全は大前提です。
 
 123便事故が起きたのは、1985年のことです。日本が経済大国としてピークを迎えた年でした。その後も信楽高原鉄道や中華航空事故が起き、18年前の阪神大震災、8年前のJR西日本脱線事故、そして、一昨年の東日本大震災と一度に多くの人命が失われる大きな事故や災害が起きています。昨年、4月には、群馬県藤岡市の関越自動車道でツアーバス事故も起きました。
 
 事故の被害者は、さまざまな方法を選びながら、そのプロセスにおいて、共に生きるすべを見つけるために、亡き人への思いや姿を、永遠に心にしまいます。そして、命を奪った惨事を風化させないで、伝えていくことの大切さを心に刻みます。これは、事故でも災害でも同じです。
 東日本大震災の被災地を、被災者を忘れてはいけません。被災した人も被災しない人も、果たすべき役割を皆で考えたいと思います。 今回の大災害を「想定外」でかたづけ、自然災害のリスクとしてやむを得ないこととしたら、私たち人間は、機械を作ることはできても、それ以上は手も足も出せない、ということになってしまいます。
 事故や災害の教訓を生かし、安全文化を高め、未然に防いでいく為に、今後も様々な発言をしていきたいと思います。

2)被害者(被災者)支援の充実を
 
 情報の提供と心のケアなどの被害者支援は、事故だけでなくあらゆる災害にも共通します。東日本大震災の被災者への総合的な国の調査は、進んでいません。被害(災)者が,適切なタイミングで情報を迅速かつ平等に得られ,経済的,精神的支援を受けられる社会を構築していくためにも、今、苦しんでおられる方一人一人の声を聴き、支援プログラムを作ることが求められます。
 
 私たちは、事故の被害者が、身近なところで相談ができ、そのプロセスに寄り添う被害者支援を、国が一元的に担う窓口が必要だと考えてきました。事故被害者支援については、アメリカには、航空災害家族支援法があります。日本にもこうした法律が必要ではないかと要望してきました。
 
 この被害者の支援について、日本でも4年前(2009年9月)に、国土交通省の中に「公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会」が作られ、検討が始まりました。「8・12連絡会」と「T A S K」は、この検討会に委員を送り、被害者の立場から発言をしました。
 
 2010年8月には、当時の前原国交省大臣と8・12連絡会の遺族が、日航安全啓発センターで面会しました。その際、前原大臣は国として、この被害者支援の法制化を検討すると約束しました。その後、国土交通省は、「公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会」や「JR福知山線脱線事故の検証委員会」などの提言を受け、昨年、運輸安全委員会に事故調査情報提供窓口を設置し、さらに、「公共交通における事故による被害者等への支援のあり方検討会」の提言で、国が、直接的に事故被害者や遺族らを支援するための、常設の組織「公共交通事故被害者等支援室」を昨年4月、設置しました。
 
 この新たに設けられた支援室は、「職員は、事故直後現場に駆けつけ、消防や警察、病院などからの情報を整理して、被害者家族らに伝える窓口機能を担う。
また、対立関係に陥りやすい事故当事者の企業や関係機関に対して、遺族らの間に立ち、コーディネーター的役割も果たし、そして、心のケアも含めて、中長期的に支援をする。」とあります。
 多くの事故被害者団体が長年求めてきたことがやっと取り上げられ、被害者の視点に立った被害者支援が始まります。長い時間がかかりましたが、被害者の人権を守っていくための大きな一歩だと考えます。今後も、被害者支援組織を育て、最大限機能するように発言をしていきます。

3)「被害者の支援と事故調査」は、車の両輪です。

 「なぜ事故が起きたのか?なぜ助からなかったのか?」。被害者は、この「なぜ」を解消し,1日でも早くその答えが届けられ、「事故から教訓が生まれること」を何よりも望んでいます。事故調査の目的は、再発防止です。捜査や刑事罰に阻害されることのない専門性の高い、独立した透明性のある事故調査が、国民を納得させ、将来の安全に繋がります。また、事故の調査資料は国民の共有財産です。
 事実を検証し、教訓化する作業には、肉親を亡くし、苦しんでいる被害者の視点が必要で、被害者だからこその気づきがあると考えます。そして被害者が、新たな一歩を踏み出すためには、「被害者の支援と事故調査」のこの2つが必要で、それは、車の両輪です。

4)「かけがえのない命」を子供たちに伝えよう 
 
 私たちは、原発事故後、「安全神話は、神話でしかない」「ありえないといわれていたことも起こる」「どんなシステムにも、リスクはある」と知らされました。利便性の裏にある危険を知り、私たち市民一人一人が、「この事故は、どうすれば防げたのか」についての正確な情報を得、整理し、共有していくことが必要です。原発も飛行機も、命を運ぶすべての乗り物は「かけがえのない命を守ること」が大前提です。
 
 安全問題を考えることは、日本をどんな形にしていくかに繋がります。人々の暮らしをどんな風に変えていくかに繋がります。この国の形を決めていくのは、私たち一人ひとりです。これからも、事故調査や被害者支援について、被害者の視点で発言を続け、安全文化を高める活動をしていきます。事故を伝え、慰霊行事を共にし、事故調査機関の強化を要望し、事故や災害に遭われた被害者・遺族への支援を進める活動も続けてまいります。

2013年8月12日
8・12連絡会事務局


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