旅路   御巣鷹山と生きる

■著者:美谷島邦子
■254ページ
■価格:1400円(税別)書店にて発売中
■発行所:
 株式会社新潮社
 〒162-8711 東京都新宿区矢来町71
 TEL 03-3266-5111(読者係)
※この本の印税は、慰霊の園に寄付されます。

 8・12連絡会事務局長の美谷島邦子さんの本(毎日新聞2010年7月13日記事より)
520人の命を奪った85年の日航ジャンボ機墜落事故から8月12日で25年。9歳だった次男の健ちゃんを亡くし、遺族らでつくる「8・12連絡会」の事務局長を務める美谷島(みやじま)邦子さん(63)が、事故を次世代に伝えようと「御巣鷹山と生きる日航機墜落事故遺族の25年」を出版した。

 事故から4カ月後の85年12月に結成された連絡会は、賠償問題の窓口になるような団体ではなく、遺族が励まし合い、会報「おすたか」を発行して情報を共有するゆるやかな組織だ。その活動を通じて、美谷島さんは遺族の心情に接してきた。

 美谷島さんが「健ちゃんや連絡会のことを書きたい」と思ったのは約2年前。遺族それぞれの思いもあり、「今さら」という迷いもあったが、1年かけて100ページ近くにまとめた。昨年5月、ノンフィクション作家の柳田邦男さんに相談したところ「絶対出そうよ」と背中を押され、もっと書こうと心に火がついたという。

 午前4時ごろには起きて2〜3時間、パソコンに向かう日が続いた。会報「おすたか」や記録を取ったノートをめくり、健ちゃんのことを思うと涙があふれたが、健ちゃんの「頑張って。今やらなきゃダメだよ」という声が聞こえるようで、励まされたという。

 本は、連絡会の活動や遺族の心情などを振り返ると共に、日航のこれまでの対応や経営危機、JR西日本による事故調査報告書漏えいなど、執筆中に発生し、これまで取り組んできた活動に密接に関連する問題についても触れた。

 美谷島さんは「自分が学ばせてもらったことを、伝えていく年齢になった。連絡会も、遺族の子供たちへの世代交代を迎えている。事故を知らない若い人に命の大切さを伝えたい」と話す。


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